独占対談 第15回
武蔵野大学アントレプレナーシップ学部長 伊藤羊一先生
今回のインタビューは動画でもお楽しみいただけます。
是非ご視聴ください。
今回は、『1分で話せ』の著者であり、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部長の伊藤羊一先生に書類審査を突破するコツを伺いました。
※2021年度入試内容です。
Q:総合型選抜で課される書類審査について、必要となる書類の種類を教えてください。
A:大学の出願書類としてまずエントリーシートがあります。
それに加えて、アントレプレナーシップ学科では、独自の課題を用意しています。
課題の内容は、「あなたの想いを指定のフォーマットを使用して自由に表現してください」というものです。
この課題には記載して欲しい項目が2つあります。
1.あなたはどんな人ですか。自由な表現で我々に伝えてください。
2.あなたが社会に対して感じている違和感、もしくは好奇心を持っている事柄を教えてください。
(もし社会に対して違和感や好奇心を覚えていないとするならば、それはなぜですか?その理由を 教えてください)
いまのところずっとこの内容を問い続けていきたいと思っております。
まず、1つ目の質問に関してですが、
これから大学に入って教員たちと一緒に何かを作っていくというときに、
「あなたは何者ですか」とわからなかったら嫌ではないですか?
私たちは一緒に船に乗ってチャレンジしていく皆さんがどんな人か知りたいのです。
もう1つ目は、アントレプレナーシップを発揮していくというのが
社会に対して感じている違和感だとかもやもやとか、
貧困やジェンダーギャップなど大きな課題でなくても、
例えば…
「生きづらいとか学校の教育はこれでよいのか?」
「自分はコミュニケーションが苦手でもやもやする」など。
それを形にできているかいないかわからないけれども、
この「もやもや」とか「違和感」とかと言うのは、
ネガティブな話の場合もあれば、
「これを考えているとわくわくするよね」というポジティブな一面も一方ではあるわけです。
そこがアントレプレナーシップのベースとなってくるので、
どんな風に感じているのか教えて欲しいと思っています。
ところが、そのようなことがわからなくても、この学部に来てくれとも言っています。
自分が高校生の時のことを考えてみたら、
とにかくもやもやしていること何か言語化できなかったなということがありました。
可能な限り言語化して欲しいのですが、できないという場合もあるかもしれない。
その場合は「なぜできないのか?」と言う事を明確にすることで、何かしら表現してくれます。
この2つの質問に対して大学のwebサイト上で、
「なんでこのふたつなのか、何を私たちは考えているのか、このようなことを考えているからこういうことを考えてね」と言う風にメッセージを載せています。
それに応えるような形で書いていただきます。
いわゆる「入試」でこういったことをしている大学を他に見たことないのですが、そのようなことをやっています。
これはなぜかというと、「入試はコミュニケーション」だと僕は思っているからです。
「入試で私たちはこう考える」それに対して、私はこう考える。
というやり取りで、少し違うなと思ったら、別の大学に行っていただければ良いですし、
いやこれ正にこういうことだろうと思って頂いたら志望して頂くと言うこともあります。
入試の書類自体もアントレプレナーシップを育む過程にしたいと思っています。
せっかくエネルギーをかけてやっていただく以上、
決まっているテーマに対して、
「どう考えたらよいのだろう」
「こうやった方がうまく採点できるだろうか」
「正しい答えはこうだろうか」みたいなことを考えるのではなく、
「私はこう考えるよ。それに対してあなたはどうこたえるの?」ということを入試でやりたいと思っています。
自分としては良い入試だと思っています。
このメッセージを他の入試を使う人たちも(総合型選抜以外)見てねと言っています。
「そういうことをやろうとしているのね」というのは、
入試の段階から受験生には理解して頂けていると思います。
Q:大学のポリシーに賛同できればということですね
A:受験生たちも自分たちで色々な動画を見たり、大学のホームページを見たりしながら勉強して欲しいのですが、
とはいえ、「結局なんなのだろう?」と言う風に言ったときに、
私が『手紙』と言う形で出した方が良いなと思っています。
手紙の内容は変わるかもしれないですけれど、今年以降も出し続けると思います。
Q:毎年手紙の内容は変わっていくものですか?
A:そうですね。1年前に書いた手紙はまだ踏み出していない(学部成立前)のですよね、
踏み出していない状態だけれどもこう思うんだよねという内容です。
今は踏み出しているので、「やはりこう思う」というところが、
メインのメッセージは多分全く変わらないと思っています。
Q:実際エントリーシートで聞かれる問題や審査官自体が見ているポイントと言うものはありますか?
A:「どのくらい本気で思っているか」ということがまずあると思います。
本当のことはわからないかもしれませんが、喋っているとだいたいその本気度は伝わってきます。
そして、これは本当にしてはいけないと思うのですが、
「ひとまず課題があるからその課題に対して答えを置きに行く」ということで、
なんとなくそれっぽい形を作るということはされたくないと思っています。
私たちは現役の実務家がそろっているので、試験官もすぐにわかるのですよね
「これは置きにいているな。」と。
ものすごく大げさなことを言うと、「試験官に生き様をみせる」ことが大切です。
「色々なことを一生懸命やってきたのだけれども、悔しい思いがあって、俺はこれをどうにかしたい」
「このようなことを研究してきたら周りからすごいと言われて賞ももらったとこれが嬉しいからやってみたい」
「私はそこまで熱い思いはないけれども、本当にもやもやとしていて毎日悩んでいる」
「もやもやしているだけ言うと試験を落とされるかもしれないけれど、
でもこれが正直な気持ちだ!」
という正直な気持ちを出しているか出していないというのが、一番大きいと思います。
結局、大学受験の入試と言う感覚で見ていないのです。
一緒に働く一緒の船に乗る、一緒に歩いていく仲間かどうか。
社長が自分のチームに入ってもらうための面接を日々やっているわけですよ。
その感覚で見ていると言うことです。
そのため、学問的に優秀かどうかもさほど関係なくて、
「この人と一緒に船に乗れるかどうか」という目で見ています。
正しいこと言っていても、この人とは一緒の船に乗りたくないと言う人はいるわけです。
そういうところはしっかり見ています。
だからと言って、「にこにこ明るく話そう!」という話でもありません。
言葉が下手でも思いを訴える人は良いかもしれないし、正解はありません。
本当に一緒に船に乗りたいかどうかという感覚ですね。
Q:エントリーシートを書くコツや注意点はありますか?
A:「コツはこうです」という答えを期待されているかもしれませんね。
コツは「生き様を見せること」です。
心の底から俺はこれだ、私はこうだと言う思いをいかに出せるかどうかです。
自身の存在をかけてこれを言えるということがあるかどうか、存在をかけてこれはすごいではなくて、
存在をかけて「今、もやもやしているんだ」ここがしっかり出せるかどうかというのが本当にコツですよね。
そこしか見ていないです。
Q:アントレプレナーシップ学科の独自課題についても一緒ですか?
A:そうです。言語化はそんなに簡単なことではないわけですよ。
頭の中にあるイメージがそんなに簡単に言語化できたら苦労しないわけです。
可能な限りシンプルに書いて欲しいし、絵とかで表現しても良いのですが、それは表現しきれないわけですよ。
だからグループディスカッションとか面接を通してそれを補完していくということですね。
Q:完璧でなくても良いのでしょうか?
A:もちろんそうです。完璧だったら自分で『1分で話せ』という本は出していないです。
世の中の人はみんな完璧ではないのです。
正しいこととか、頭がよく見えるように書こうと言うのは見抜かれるので、
等身大の自分で心に思うことを素直に書いてください。
お忙しい中、ありがとうございました。
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